最近日本でも急速にNFTが流行してきていますね。
さいとうなおきさんのイラストが日本円で約600万円で売られたニュースは記憶に新しいです。
こういった事例をみて、自分もNFTを始めようと思っている方も多いのではないかと思います。
参考)さいとうなおき NFTアート落札
しかし、NFTを販売すると、購入者にどの程度のイラスト使用の権利が渡るのでしょうか?
例えば、その購入者が買ったNFTのイラストで写真集を作ったり、Tシャツなどのグッズを作ってもいいのでしょうか?
わかりやすく解説していきます。
NFTを売買すると権利関係はどうるの?
NFTを購入したら、それを保有することになります。
当然、保有し続けたりする人もいれば、それを二次販売して利益を出す人もいます。NFT自体を転売することは、原則的に問題ありません。
分かりにくいのは「NFTに紐づくデータ」に関する権利です。例えばイラストのNFTを保有しているのであれば、イラストの色合いを変えたり、Tシャツに印刷して販売するなど、NFTそのものの売買以外の方法でお金を稼ごうとしてもいいのでしょうか?
NFT保有者が出来ること出来ないこと
さて、初めにNFT保有者が権利的に出来ることと出来ないことを分けておきましょう。
▼NFT保有者ができないこと
- 著作物を商用利用すること
- 作者に無断で作品を変更すること
例えば、購入したNFTに紐づくイラストを集めてイラスト集を印刷したり、また楽曲データのメロディーを一部変えたりすることはできません。
一方でNFT保有者ができることはこちらです。
▼NFT保有者ができること
- NFTを持っていることを公開・宣言すること
- TwitterやDiscordなどのSNSのアイコンに使用すること
こちらに関しては認められることが多いです
また一部のNFTには会員権の機能も持っているので、特定のサイトやコミュニティーにアクセスすることができます。こう見るとNFTを所有することのメリットは一見限定的に思えます。
が、NFTが発展してくるに連れ会員権などの機能が大幅に拡大されていき、メリットが増えていく可能性があります。
そもそもNFTを所有するとは
まず、そもそもNFTを所有するとはどういうことなのか考えていきましょう。
NFTとは著作物を表すトークンであり情報です。勘違いされがちですが、イラストなどの著作物そのものとは別のものです。イラストデータが本物であることを証明する証明書がNFTとなります。
原則的には、イラスト本体(著作物)とその証明書(NFT)が別個に存在します。
土地売買で例えてみましょうか。ある土地を購入した時、その土地そのものを受け取るのでなく、その土地の所有者を証明する権利証を使って売買しているのに近いかもしれませんね。
NFTを購入したときに得られるのは著作物ではなく証明書であることを理解しておきましょう。
法律の用語の説明
NFTを売ろうとするときに著作権、所有権、知的財産権など、色々な法律の用語が出てきて混乱しがちです。
さらにそれらの用語が何に関係するものなのか複雑でわかりにくいですよね。ですが安心してください。NFTを扱う上で実際に頭に入れておかなければいけない法律は多くありません。
この記事では、用語を網羅的に解説していますが、初心者の内は「所有権とは」「著作権とは」(の一部)だけを読み込んでおけばとりあえずはOKです。
所有権とは
「NFTを所有する」という言葉をよく聞きますね。
では、「NFTを所有する」とはどういうことなのでしょうか?例えば、あなたがイラストをNFT化して販売しても、購入者はイラストを自由に使うことはできません。これはNFTを販売したとしても、所有権の譲渡は行われていないというのがこの理由です。
所有権とは「持っている人は、お金儲けをしたり、捨てたり、誰かにあげたすることは自由」というものです。日本の法律で定められている所有権の対象は「有体物」のみです。しかし、「NFTを所有する」といっても、NFTは「無体物」(形のないもの)です。
なので、NFTは法的な枠組みでは所有権の対象ではありません。
参考)北側綜合法律事務所
著作権とは
先ほどから話に上がっている著作物や著作権を説明します。
著作物とはイラストや小説・楽曲・文芸や美術などの、著作権法によって保護されている創作物です。(その一方で、自分の頭の中にだけあるアイデアや書き上げたプログラミングコードは法律による著作物の対象には含まれません。)
つまり、よくNFT化されているピクセルアートを含めたイラストは著作物、つまり著作権によって保護される対象です。一方で、NFTというトークン自体は著作権によって保護されていません
そのため、NFTの商用利用を考えている場合は著作権についてよく理解しておくことが大切です。
ここからは少し詳しく著作権についても解説していきますが、必要なところは後で説明しますので時間がないひとは読み飛ばしてください。著作権とは、著作財産権・著作者人格権の二つに分かれます。
著作財産権と著作者人格権
著作財産権とは、著作物(=作品)を利用してお金を得ることができる権利です。この権利を持っていない人が勝手に商売をしてはいけません。
例えば、「この作品のグッズ売っていいですよ。その代わり売上の●割はください」など言った場合は、ライセンス契約を通じて他人に著作(財産)権を譲渡しています。
加えて、著作者人格権では、「同一性保持権」というものがあり、やむをえない場合を除き「著作物の内容およびタイトルを著作者の意に反して変更していけない」とされています。
例えば、著作者に無断でイラストの色合いを変更したり、音楽をアレンジすると「同一性保持権」を侵害することになります。
まとめると
▼法律上NFT所有者ができないこと
- イラストのNFTを購入した人は、著作財産権を持っているわけではないのでTシャツに印刷して販売することはできません。
- また著作者人格権も持っていないので勝手にイラストの色合いを変えたりしてはいけません。
参考)たきざわ法律事務所
参考)弁護士法人一新総合法律事務所
知的財産権と版権
NFTと法律のことを調べるときによく「知的財産権」や「版権」という言葉も出てきますので、少し解説しましょう。
知的財産権は著作権より広い範囲をカバーする法律と覚えておけば良いでしょう。
知的財産権とは財産的な価値を持つものやアイデアを保護するものであり、著作権、特許権、実用新案権や商標権などをまとめた総称です。「著作権を侵害していますよ」というのは「知的財産権を侵害していますよ」とほぼ同じ意味だと解釈してOKです。
版権とは著作権の古い呼び方です。版権とは著作権ができる前の法律の名前です。昔の法律ですので、画像、音楽や動画などは版権でカバーされていませんでした。
つまり、版権元とは著作権を持っている会社やクリエイターのことですね。
参考)特許庁
NFTを買った人はそのイラストで写真集を印刷していいの?
先述した通り、「NFT化されているアートなどは著作権で保護されている対象であり、勝手に変更を加えたり、利用範囲を超えて商売はNG」です。
ではその利用範囲とは、どの程度のものなのでしょうか?
この点に関してはNFTを販売している各サービスの利用規約が参考になります。例えば、国内のNFTプラットフォームである『NFT Studio』の利用規約では、NFTの購入者には著作権を含めた知的財産権は得られません。
『NFT Studio』の利用規約
NFT Studio 利用規約 第 16 条(知的財産権等) より抜粋
当社コンテンツに関する著作権、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、肖像権その他一切の知的財産権及びこれらの権利の登録を受ける権利(以下総称して「知的財産権」といいます。)は、当社、当社がライセンスを受けているライセンサー又は出品者に帰属し、ユーザーには帰属しません
NFTアートを購入していても作品の著作権を得られないので、NFTに紐づけられたイラストやGifアニメ、動画などを使ってグッズを作成したり(著作財産権)、またそのアートの色を変えたりなどの変更をしてはいけません(著作者人格権)。
ただし、一部のNFTアートでは著作権の譲渡を行っているケースもあります。気になる場合は購入前に各サービスの利用規約や各NFTアーティストやアイテムの詳細を確認しましょう。
二次創作はNFT化していいの?
二次創作に関する権利関係に対して不安を持っている人のために解説していきましょう。
結論を言うと、何らかのコンテンツの二次創作品を行い、それをNFT化して販売するのは基本的にNGです。
まとめ
また、多くのNFTはTwitterやDiscordでのSNSのアイコンとしての使用は認めています。ですが、NFT=著作物(アート)ではないため、その著作物を利用しての商売は原則的に行ってはいけません。
また、二次創作を認めているプロジェクト以外では基本的に行ってはいけないので注意をしましょう。
取り巻く法律関係を正しく理解した上で、安心してNFTの販売や購入を行いましょう。実際にNFTを売買する手順は下記記事にまとめているので、よろしければこちらもご参照ください。
loading...
最後に宣伝です。
弊社が運営するNFTマーケットプレイス、LEAD EDGEはPolygonネットワークを採用しているため、格安のガス代でNFTの取引が可能です。
出品審査も無いため初心者が手軽にNFTを始めるのに最適です。
この機会にぜひ一度公式サイトをご覧ください。
>> LEAD EDGEの公式サイト